無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

*****

“普通のデートみたいにしたい“

これが相葉さんからの申し出だった

変装する時点で全然普通じゃない気もするけど、どうやらそういう事ではないらしい


電車とか、公共機関を使って移動して

映画見たり買い物したり

安いファーストフードとかで気軽に飯を食う



学生みたいなそれに、憧れがあるんだと相葉さんが力説してた

言われて見れば、ちょうど高校生の時期って既にデビューしてたし

当時付き合ってた子とは、俺も相葉さんもいつもコソコソしてたもんね


それを今やるってのもどうなの？と思わなくもないけど

“にのとだからしたいんだ“ なんて言われたら



……嫌だ、とは言えない




約束の、駅の改札口に目をやれば

スマホを弄りながら下を向く相葉さんの姿が目に入ってきた


「…え？」

思わず目を疑った

一目ですぐに彼だと分かるのは、恋人だからとかそんな甘い理由じゃない


殆どそのままの相葉さんがそこに立っていたからだ


変装はどうした！

バレたら映画どころじゃないだろ？！


俺はと言えば、普段あまり掛けない眼鏡と少し目深に帽子を被って多少は分からないようにしているのに