
今日も明日も 2nd season
第1章 見えない鎖 Ⅸ
「今日はさ、凄く天気がいいよ」
「はい」
かずくんが、全開にした窓から外を見る
「あ、鳥さん」
近くに来たにゃん太を抱き上げて、かずくんがそこに近付こうとした瞬間
「ダメ!!」
俺は声を荒げてしまった
びくり、とかずくんの肩が大きく波打つ
大きな声でかずくんを制したのは初めての事
かずくんはみるみるうちに涙を溜め、ガタガタと震え出した
「ごめ…なさい」
かずくんに何も説明してないんだから、いつもみたいにベランダに向かうのは当然の行動なのに
にゃん太が来てからあまり窓に行かなくなった事で失念していたのは俺だ
かずくんからしたら、多分近付いてはいけない意味なんか分かってない
説明した所で怯えさせるだけだと思ったから
だけど俺が怒鳴ったら同じじゃないか
…結局はかずくんを怯えさせてるんだから
にゃん太をギュッと抱き締めたまま、溢れる涙を落とすかずくんに小さく息を吐いて
「大きな声出して、ごめん」
ゆっくりと手を伸ばし、分かるようにしてかずくんを抱き締めた
