
今日も明日も 2nd season
第1章 見えない鎖 Ⅸ
昨日届いた先輩からのメール
『荷物はぼちぼち纏めておけ。やっぱり暫くはそこを離れた方がいい』
…最初にここにいない方が、って言ったのは先輩だ
だから別に驚くものじゃない
だけどまだ何1つ荷物を纏めようとしてなかったのは
心のどこかで “このまま何とかなるかも“ なんて思ってた証拠
かずくんのお兄さんの異常性を、聞いていながらも甘く見ていたってやつだ
約束の1週間まで後3日
どのくらいの、荷物が必要なんだろう
「まーくん……」
不意に後ろから声を掛けられた
「おはよ、かずくん」
「おはよう、ございます」
かずくんは迷わずに俺の背中にぴとっと顔を当てた
俺からの不意打ちには怯えるのに
自分からくっつくのは大丈夫とか
……それもなかなかきついんだけどな
「かずくん、座って」
「…はい」
起きてきたかずくんの為に、さっきのコーヒーに砂糖と牛乳を入れてカフェオレを作る
「ありがとう、ございます…」
カップを両手で持つのは、癖なんだろうか
いつも思うけど、小動物みたいで可愛い
