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N side

今どきエアコンすらないなんて…

外観も確かに年季入ってたけど

部屋に入った瞬間の、部屋の古さに驚いて

そこにあるのが小さな灯油ストーブと、タンスまがいのプラ製のチェストにシングルハンガー、そして折り畳み式の小さなテーブル…


それこそテレビの世界の "ザ、昭和" チックな感じに

驚きから何でだかワクワクに変わった

雅紀の無頓着は知ってたけど、部屋にも全然こだわりがなくて

だけど決して汚い感じがしないのは、余計な物が一切ないからだろうか



シングルハンガーには、季節関係なく畳んで収納出来ない衣類が無造作に掛けてあって


…あ、俺が選んだ服


その中の、ビニールに被せてある服に目が止まった


「…ちゃんとクリーニング出したんだ」

「へ？」

「俺があげた服」

雅紀が俺の買ってきた袋の中身を分けながら振り返る

その服を見た途端、雅紀の顔が真っ赤になった


ああ、そっか

…これを着て出掛けた日に、初めて雅紀を抱いたんだっけ