
今日も明日も 2nd season
第34章 愛しい人 *赤+紫×青*
音の主は、間違いなくここの家主
ここから出て、すぐドアに張り付いて
多分話に聞き耳を立てていたんだろうと思った
…最後の言葉に動揺したの、まるわかり
「ちが…俺、は…そんなんじゃ…」
「でも潤の事は忘れたフリだよね」
さらっと、だけど嘘はつかせまいと少し無機質な言い方をすると
智くんは大きく肩を震わせた
「だって…あんな…、あんなの、俺じゃな…!」
再び溢れる涙
そう言えば、あいつ “仕込んだ“ とか何とかほざいてたな
もしかして…
「あのさ…」
潤んだ目で俺を見上げる
「クスリ…使われた?」
「…っ!」
その目を隠すように、ギュッと瞳を閉じた
直球すぎる質問
他に、柔らかい聞き方もあるんだろうけど
今の俺には生憎その言葉のボキャブラリーが乏しくなっているから
傷付くかもと頭では分かっていても、それしか言いようがなかった
「飲まされたんだろ?」
追い討ちになっちゃうかな?と思ったけど
答えを聞かずにはいられなった
予想通り “クロ“ なら
俺は何も使わないで、優しく智くんを蕩けさせるつもりだから…
