
今日も明日も 2nd season
第34章 愛しい人 *赤+紫×青*
掠めるように触れただけで、すぐに離す唇
鼻が触れ合う程の近さで智くんを見つめると
「……」
拒否もしなければ、受け入れる事もなく
ただ “無“ の状態で俺を見つめ返している
「…智くん」
「なん、で…?」
「俺の事は、拒否しないの?」
「え…」
「潤には、あんなに取り乱したのに」
確かに強引だったのは潤が悪いけど、智くんに対する潤の気持ちは知ってる
でもさ
今…、潤の名前に少し反応したよ?
忘れた振り、してるんじゃない?
顔見て取り乱したのは、嘘じゃないかもしれないけど
…何かが引っ掛かってる
「ねぇ?」
頬を撫でながら、瞳を覗き込む
さっきとは違って、しっかり俺を捉えている瞳
「…自分の気持ちに戸惑ってるんでしょ」
「なに…言って…」
「潤に抱かれた事、心底嫌がってはないって事だよ」
智くんがわずかに目を逸らした
「違う…っ嫌だ…!俺は…」
「俺は、そう言う意味で智くんが好きだよ?
…潤も、同じ」
扉の向こうで、ガタン、と何かにぶつかる音が聞こえてきた
