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今日も明日も 2nd season

第34章 愛しい人 *赤+紫×青*



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「もしもし…?ああ、うん俺」

智くんとの通話を終えた後、すぐに掛けた相手


「…何先走ってんだよ」

のほほんと答えるそいつに、俺の声が自然と低くなる

『ごめんって』

口先だけで謝ってるのが丸わかりで、思わず溜め息が出た


「…お前、今どこ?」

智くんの傍にはいないのは分かっている

『翔くんちの前』
「はぁ?!」

まさかの居場所に、変な声が出てしまった

「俺、駐車場にいるんだけど」

『知ってるよ』

「は?」

『…だって見えてるし』

マンションの周りはあまり外灯が多くない

ついでに目隠しのような死角もあちこちにある


どこにいるんだよ、と暗がりを必死に目で追っているけど

視力のせいもあって、その姿は見つからない



「見えてんなら来いよ!」

早々に捜すのを諦めた俺は

その電話の主に少し強く言った

『だから見えてるって言ってんのに…』

そう言うや否や、いきなり助手席のドアが開く

「うぉっ!」
『ね、見えてるでしょ』

ニヤリと笑ったそいつは、躊躇なくシートに滑り込んできた

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