テキストサイズ

今日も明日も 2nd season

第32章 コイゴゴロ *紫×黄*



分かってる

潤くんが俺をそんな対象として見てないのは


小さい頃から知ってるんだ

それこそ付き合った女の子もみんな



…そう、女の子

それが当たり前だけど

その壁はとてつもなく、高くて頑丈で


だから俺は

それに登る事も壊す事も、最初から放棄してる


だってその方が

…傷つかなくて済むから




「…大丈夫?」

尻餅をついたままの潤くんに、もう一度訊ねた

「だ…大丈夫…」

まだ赤い潤くんの頬

吸い寄せられるように、その頬に手を伸ばした


全くの無意識のうちに



「かず?」

後少しで触れるかと言う間際、潤くんがその手を掴んだ

「え、あ…ごめんっ」

そこで初めて自分が手を伸ばした事に気が付いた

慌てて引っ込めようとするけど、それは敵わなかった



…潤くんが、手首をしっかりと掴んでいたから


掴まれた部分がやたら熱い

心臓が痛いくらいドキドキする


「潤…くん、離して…」

恥ずかしさから、声までも上擦ってしまう

「かず」

潤くんの目が、確実に俺を捉えた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ