
今日も明日も 2nd season
第4章 見えない鎖 Ⅹ
その日は風で窓が揺れるだけでかずくんは怯え、殊更俺の傍から離れるのを嫌がった
それこそトイレに行くだけでも絶望的な瞳を浮かべ、涙を溜めて俺が戻るのを待っている
お風呂も、こんな状態だからと一緒に入ったけど
…なるべくかずくんを見ないようにするだけでいっぱいいっぱいで
油断したら理性なんてすぐに消えてしまう
手を出せない分、間違いなく暴走してしまう
だから、風呂から出てさっぱりするはずが余計に疲れてしまった俺は
冷蔵庫からビールを取り出すと、足を投げ出してソファーに深く凭れ掛かった
「まーくん…」
「ん?」
「ごめんなさい……」
隣に座ったかずくんがまた謝ってきた
「え?」
「俺のせい…、まーくん疲れてる」
ああもう
そんな風に思わせたくないのに
だけど正直なところ
朝のあの衝撃と、何も出来ないジレンマと
俺から離れないかずくんと
……手も出せないもどかしさとで
色んな感情がごちゃ混ぜになって、確かに少しイライラしていた
いつもなら
「謝らないで」
こう言ってかずくんを宥めているのに
そうしてあげたいのに
言ってやれない俺は、無言でビールを喉に流し込んだ
