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今日も明日も 2nd season

第4章 見えない鎖 Ⅹ


こういう時だからこそ、優しくしなきゃいけない

不安にさせたらいけない

……そんなの分かりきってるのに、自分の感情もコントロール出来ない俺はやっぱりまだまだガキで


「やっぱり俺……帰…」
「言うなよ!」

そしてもどかしい気分の時に、またかずくんがそんな事を言うから、思わず声を荒げてしまった

「ごめ、なさい…」
びくっとかずくんの肩が大きく揺れる


だから違うのに
怒鳴ったって意味ないのに


ダメだ
今は俺も冷静になれない

かずくんのお兄さんの来訪は、俺も酷く動揺している

“怒鳴ってごめん“ って謝りたいのに、その言葉も出て来ない

隣に座るかずくんは、嗚咽を必死に隠そうとしていて
…それすらも今の俺にはイライラに繋がってしまっている


「…ちょっと、電話してくる」
“キッチンにいるから、かずくんはここにいて“

ソファーから見える場所だから、と念を押し
俺は先輩に電話を掛けるべく立ち上がった

かずくんの目が俺を追う

傍に来ようと腰を浮かせたところを “大丈夫だから“ と手のひらを向けてそれを制した




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