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今日も明日も 2nd season

第4章 見えない鎖 Ⅹ


何が起きたのか把握してないかずくんが、小さな声で俺を呼ぶ

その声を遮るように、部屋のチャイムが鳴り響いた

「まーくん…誰か、来た」
「シーっ!黙って」

応答しないでいると、チャイムが再び鳴らされドアをガチャガチャと動かされる

開く筈がないと分かっていても、嫌な汗が額に溜まる


「…いるの、分かってるんだけどなぁ」
ドアの向こうから、わざとらしい明るい声が聞こえた

「ひ……っ」

その声を聞いた瞬間、玄関を見つめていたかずくんがガタガタと震えだす


「かずくん、大丈夫だから。耳塞いでて」

今にも崩れ落ちそうな位に震えるかずくんをしっかりと抱き締め、少しでも落ち着かせようと彼の背中を撫でた


尚も鳴らされるチャイムと

時折開かないのを分かっていながらドアを弄る行動は10分近く続いていた



「まーいーや。また来るからさぁ。…アイバクン」
“じゃあねー“ とまるで友達みたいに軽く言った後に去っていく足音が聞こえる

息を詰めて、気配が完全に消えるまで

かずくんを抱き締めたままそこから動く事が出来なかった




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