
今日も明日も 2nd season
第28章 bartender *赤×緑*
「雅紀……」
翔ちゃんの手が、後頭部に添えられる
奪ったはずの唇は、逆に奪われてしまい
翔ちゃんの熱い舌が俺の咥内を弄んだ
納まりきらないお互いの唾液が、俺の顎をゆっくりと伝う
「ふ…っぁ…」
「…こっち、来いよ」
唇が触れ合う近さで囁かれる
低いくせに甘さを含んだその声に、背中がゾクリと粟立った
「…いや、俺がそっち行くわ」
沢山のグラスや、アルコールの瓶が自分の目の前に並べられてる事を
言ってから気付くのも、いつもの事
「ふふ…いつもそれだよ」
だから俺も、揶揄るように笑う
「お前の前じゃ、カッコつかねーな」
翔ちゃんが苦笑しながらカウンターを回り
スツールに腰かける俺の手を引っ張って下に降ろした
そのままスツールとスツールの隙間に俺を押し込んで
カウンターに背中を預けさせる
もう、後ろには逃げられない
…逃げる気なんか、最初からないけど
でもさ
形だけでも、少しは抵抗して見せた方が
翔ちゃん、燃えるでしょ?
