
今日も明日も 2nd season
第28章 bartender *赤×緑*
「…お前なぁ、それじゃあ味が分かんねぇだろ」
呆れたように言う翔ちゃんに
「だって翔ちゃんのカクテルにハズレはないじゃん」
ニヤリと笑って見せると
"全く…" なんて言いながらも、どこか嬉しそうに口角を上げる翔ちゃんがそこにいて
「だって本当の事だし」
今度はわざとらしく小首を傾げてみせたら
いきなり顎を掴まれて、カウンター越しに噛み付くようなキスをされた
「ん…!?」
咥内に何かが強引に流し込まれる
それを飲み込むまで、翔ちゃんが唇を離さないのは容易に想像が付いた
仕方なく、喉を鳴らして飲み込めば
唇を離した翔ちゃんが、俺を見て悪戯っぽくニヤリと笑った
「きっつ…!」
焼けるように喉が熱い
それがウォッカだとすぐに理解するのに時間は掛からない
そしてこれを飲まされる時は
翔ちゃんが俺を求めるサイン
カウンターの向こうにいる翔ちゃんの蝶ネクタイを掴んだ俺は
返事の代わりにその唇に食らい付いた
翔ちゃんの目が妖しく光る
それは、俺を捉えて逃がさない、獣のような光だった
