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「…ごめんなさい」

睨み付けていた目が伏せられたと思ったら、かずが頭を下げていた

まさか謝るなんて思ってなくて、酷く動揺してしまう


「待って。かずは悪くないでしょ」

謝るのは俺の方だ


なのに

「俺が、もっと大人にならなきゃいけないのに、なれなくてまーくんを困らせてる」

そう言って、何度もごめんなさいと繰り返すかずの肩が震えていた



参ったな

今のかず、かなりネガティブに陥ってる

幼い頃に受けた心の傷は、そう簡単に癒える事はなくて

ひょんな時にその傷がまたかずの心を抉ってくる


…それをさせないと誓った筈が、こうしてやらかしてしまうのもこれが初めてじゃない事を考えたら

俺の方がまだまだガキなんだと思う

むしろかずの方が、色々な事を乗り越えただけ
精神的に立派な大人だろう

子どもみたいに拗ねたり甘えたりするのは、幼いからなんじゃなくて

俺に心を許してるから出るものなんだ


「かず、不安にさせてごめん」

払われたらどうしようと思いつつ肩に触れる

だけどかずは、ぴくりと反応はしても

それを振り払う事はしなかった