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今日も明日も 2nd season

第3章 Non.Title



「あーあ、泣いちゃった」

ため息と共に、背後から声が聞こえた
涙は見えてないけど、嗚咽でバレてしまったようだ

「…っ」

「俺以外に、誰がお前に触れると思ってんの?」

するりとアイマスクを外されて、顎を掴まれるとそのまま強引に唇を塞がれる

逃げる舌を引き摺り出され、あっさりと絡め取られた

お互いの唾液が混ざりあい、飲み込めないそれが俺の口端から伝い落ちる


「ふ…、ぅ…ん、は、ぁ…っ」

離れるのを惜しむように、唇が離れても尚舌先が触れている


「…俺の手は分かるんじゃないのかよ」

身体を反転させ、髪を軽く掴んで上向かせたのは

「あ、いばさ…っ」

怒り、ではなく
哀しみの色をした瞳の、…そいつ


「さっき、俺だと分かってなかったよね」

「だってそれは…っ」

目隠しをされた上に、ドアの音が聞こえてしまったからで

視界を閉ざされてる上にそんな小細工をされて

しかも声を出さないとか意地悪をされたら、誰かと入れ替わったと思っても仕方ないじゃないか


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