
今日も明日も 2nd season
第18章 君は君のままで
だけど余程疲れてたんだろう
覚醒している “つもり“ になっている事に気付かず
誰かが俺の顔を覗き込んでる事にも気付かなかった
いつもなら、すぐに気付いて
ゆっくり目を開けて
“うわ、びっくりしたぁ!“ なんて笑って驚いて見せるのに
息が掛かる程近くにいてもその存在を認識出来なかったんだ
意識がパッと戻ったのは、唇に何かが触れた時だった
すぐにそれは離れてしまったけれど、代わりに隣に立っていたのは
「何寝てんだよ。もうすぐ本番だっつーのに」
呆れたように笑う、友達…いや親友、てか戦友の
「にの…?」
その人で
他に見渡してもこいつ以外誰もいなくて
だけどさっき唇に触れた柔らかい感触には覚えがある
あれはキスだ
絶対にキスだ
だけど目の前のこいつがそれをしたとは思えない
「ん?なに?」
だってそんな事するような関係でもないし
増してこいつは同じ男で、そもそもお互い彼女もいる
それに
目の前にいるこいつの態度も、普段と何一つ変わらない
