
今日も明日も 2nd season
第18章 君は君のままで
そんな状況で
「今、キスしなかった?」なんて聞ける筈もないし
聞いたとして
「は?何言ってんの?」 なんて言われたらただの恥さらしにしかならない
いつもみたいにふざけながら “ちゅーした?“ って笑えば良かったのかも知れないけど
その時はそんな事、思いつきもしなかった
ほんの数秒とは言え、完全に意識を持ってかれた事に動揺していたし
作られた自分を演じられなくてかなり焦っていたのを覚えている
ただ、そこにいたのが「にの」で
ガキの頃から知ってる “気の置けない仲間“ だった事に、少なからず安堵はしたんだ
ただ、この時はまだ
にのの前でも自分を作っていて
“明るい奴“ “騒がしい奴“ である 「アイバチャン」でしかなかったから
素の自分を隠すのに必死で、にのの小さなサインに気付く事もなく
またこいつも器用に隠す為に
その “キスされたかも“ は曖昧なまま、すっきりしない状態でうやむやにされてしまったんだ
