
今日も明日も 2nd season
第13章 見えない鎖 part ⅩⅡ
まあさ、先輩に色々聞いた時点で
無傷で何もなく終われるとは考えてないよ
それに、この先のビジョンだって何1つ見えていないのに
この逃走劇だって、いつまで続くかも分からない
だけど
ここに来て、かずくんの俺に対する気持ちを聞けて
少なからず俺の一人相撲ではない事が分かった
…それだけでも、進展したんじゃないの?
これからまた逃げるにしても
お兄さんに立ち向かうにしても
かずくんの意思が俺にあれば、何とかなるんじゃないのかと思えるから不思議だ
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「かずくん、とりあえずはさ。暫くここで暮らすから…荷物、出そうか」
いつまでも抱き締めてるのも気が気じゃない
わざと笑って、かずくんの身体を自分から引き離し
“一緒にやろ“ と手を引いて、ボストンバッグのあるとこまで連れて行った
「俺、手伝える?」
何も役に立たない、とまだ思ってるのか不安そうな顔をした
「勿論!これ、畳んでくれる?」
無造作に突っ込んだしわくちゃの洋服をかずくんに手渡すと
かずくんはどことなく嬉しそうに丁寧に畳みだした
まだはっきりとはなかなか見せないこの笑顔が
…これから自然に出ればいいのに
