無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

唇を離して、近すぎない距離でかずくんを見つめると

「なんで…笑うんですか」
ちょっと恨めしそうに唇を尖らせた

その顔があまりに可愛くて、再び頭を優しく撫でた

「だってかずくん、可愛い」
「可愛くなんか……」

ふい、と顔を逸らすかずくんを抱きしめれば

一瞬びくん、と震えはしたものの
ほぅ…と息を吐いて、俺に身を預けてくれた


「まーくん、だけなんです…」

「え…？」


「俺を、ホントにお兄ちゃんから離してくれたの」



虐待を受けている間、かずくんを助けようとした人間がいた

それだけでも少しは救われたのかと考えて

次の瞬間、それはあっさりと打ち砕かれた


かずくんを助けてやる、と言ったのはかずくんの身体を買った大人だったからだ


“助けてやる“ と行為の後に囁かれ
実際に連れ出された事もあった

だけどそれは、助けるのではなく
金を払わずにかずくんを玩具にする事が目的で

しかもあっさりとお兄さんに見つかった時は

“こいつが連れ出せって言ったから“ と嘘をつかれたらしい