
今日も明日も 2nd season
第13章 見えない鎖 part ⅩⅡ
なんて事を考えたら、離せないだろ
今、逃げてきたばかりでこれから考えていこうとした矢先に冗談じゃない
ああ、……自分の事ばかりで反吐が出る
何を都合良く “許してくれる“ ?
アパートから出たって、かずくんに行く場所がないからじゃないか
受け皿をオーバーした涙がかずくんの頬を伝う
そこを抑えたままの手を、濡らして行くのをただ黙って受け止めた
「…まー、くん」
掠れ気味の、小さな声
涙に濡れてる瞳は、俺から逸らす事はない
「ど…して?」
どうして?
そんなの、理由なんかないよ
「キス、したくなった」
それだけの事だ
かずくんに対しての、邪な気持ちからの行動だ
「あの、……」
顔が近すぎて、はっきり分からないけど
嫌がっては、いない…?
「えと、まーくんが嫌じゃなかったら、あの…」
“もう一度してほしい“
確かに、唇がそう動いた
嘘だろ?
あんなに触れられる事に怯えてたかずくんが?
俄には信じられない
だって押し倒してしまった時、物凄く抵抗したじゃないか
