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今日も明日も 2nd season

第13章 見えない鎖 part ⅩⅡ


初めて触れたかずくんの唇は、柔らかかった

触れた瞬間、かずくんの目が大きく見開かれ “何をされてるのか分からない“ と言った感じに固まってしまっているけど

今までの事を思えば、かずくんはキスは初めてじゃない

それこそ嫌がっても強引に受け入れさせられてるだろう

だけど俺は、勢いでキスしてしまったとは言え
それまでの奴らと同じにはなりたくなかった

これだって無理矢理だし、かずくんの意思なんてまるで無視しているけれど

…矛盾してるのも分かってるけど


「かずくん…」
まだ唇が触れる距離で、名前を囁く

未だ目は見開いたまま、固まっているかずくんの眉間に小さく皺が寄ったのが分かった

その瞬間、だらんと下に降りていた腕に力が入ったらしく俺の腕を弱々しく掴む


「…っ」

間近にあるかずくんの瞳がみるみるうちに潤み出し、ハッとした


すぐに離れて謝れ
そうすればかずくんはきっと安心する

そう思うのに、離す事が出来ない

だってキスは初めてだ

これで身体を離して、そのまま俺の前から逃げてしまったらどうする?

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