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原稿用紙でラブレター

第5章 青いハートに御用心






開始早々盛り上がりを見せる各種目。


家族や地域の人たちの応援もあってか、眩しいくらいに生徒が活き活きとしていて。


やっぱ青春っていいよななんてしみじみ思っていると、一緒にテントの中に居たはずのにのちゃんの姿が見当たらなくなっていた。


あれ…?


キョロキョロと首を振ってその姿を探す。


「相葉先生!ちょっとこっちのライン引いて!」


するとふいにテントの外から招集係の大ちゃんが俺を呼び。


「あっ、はい!」


にのちゃんのことを気にしつつもラインカーを持って大ちゃんの元へ走った。


スタートラインを引き直してもう一度周りを見渡す。


…にのちゃんどこ?


「ねぇ大野先生、二宮先生どこに居るか知りません?」

「あ?俺が知るかよ。トイレでも行ってんじゃねぇのか?」

「んー…」


再びキョロキョロと目線を彷徨わせていると、バチっと合わさった視線。


翔ちゃん!


ぶんぶんと大きく手を振れば笑いながらこちらへ走ってきて。


「おはよー!つか寝坊ってなに?気合い足んないんじゃない?」

「ふはっ、うるせぇ!就活で疲れてんだよ俺は!」


笑い合いながら和やかムード。
大ちゃんもその輪に加わってきて。


「お、お前髪黒くしたんだな。あんなチャラ男だったのに」

「チャラ男って言うな!当たり前だろ就活なんだから」

「ま、なんだかんだで翔ちゃんは松潤に永久就職するんだもんね」

「はっ?何言ってんのお前!バカじゃねぇの!」


松潤絡みでイジると分かりやすく顔を真っ赤にして反抗する相変わらずの翔ちゃん。


そして負けじと水を向けられて。


「おい雅紀!お前こそちゃんと二宮先生と仲直りしたのかよっ」

「俺?俺はもうとっくに…」

「そ。こいつら学校でも所構わずイチャついてっからな」


言いながらニヤニヤして俺を見る悪い目。


事実だけに何も言い返せないのが悔しいけど…


すると翔ちゃんが大ちゃんに向かって突拍子もなく口を開いた。


「つーか大野も今モテ期らしいじゃん。人のこと言えねぇんじゃねぇの?」

「…あん?俺?」


急に振られてソッコー眉を顰める大ちゃん。


ちょっ、それ本人に言うなってば!


「俺モテ期?え?モテ期なんか?」

「いや大ちゃんはずーっとモテてるもんね!ねっ?」

「あっ、あぁ!な!」

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