
原稿用紙でラブレター
第5章 青いハートに御用心
窓から漏れてくる生活音で意識が浮上する。
カーテンから薄っすらと入る光の具合からして、起床時間よりまだ早いことが分かった。
背後から聞こえてくる規則正しい寝息。
と同時に体に纏わる温もりに。
昨日の夜のことが蘇ってきて勝手に顔が赤くなる。
もう何度だって体を重ねているはずなのに。
覆い被さってくる相葉くんを受け止めるその瞬間は毎回どきどきしてしまう。
あの余裕のない瞳で見下ろされたらどんどん体が熱くなっていって。
昨日は特にああいうことがあったからか、いつもよりなんていうか…
すごく…
俺のこと求めてきて…
まだ十分に脳裏に残る余韻に浸っていると、背中にくっついた温もりから小さな呻き声が聞こえて。
それまで緩まっていた腕にきゅっと力がこもり、同時に臀部に当たる感触にも気付いた。
「ん~…」
後頭部に擦り寄りながら下半身を押し付けて絡ませてくる長い脚。
完全に形を成した感触にたちまち蘇る昨日の光景。
そして反応して疼いてしまう密着した部分。
「…にのちゃぁん、おはよ…」
「ん…おはよ」
ぎゅうっと後ろから抱き締められ、更に寝起きの掠れ声で耳元を擽られ。
もっ…相葉くんってば…
朝っぱらからこんなに動くのかってほど心臓はどくどくと波打っている。
「ねぇこっち向いて…」
甘えた声で呼ばれてもぞもぞと体を反転させれば。
「くふ…にーのちゃん…」
無くなるくらい目を細めたかと思ったら、ちゅっと重ねられた唇。
「はー…可愛い…」
「っ…も、なにっ…」
ちゅっちゅと顔中に唇が移ってきて、恥ずかしさと反応を気付かれたくなくて顔を振って抵抗するけれど。
「あ、にのちゃんここ…」
「やっ…」
いつの間にか覆い被さられていたその場所。
僅かな変化を見逃してくれる筈もなく。
「くふっ…俺もこんなんなってんの」
「あっ…ん、やだよ…朝からっ…」
「えー…やなの?」
「も、だめだってば…あっ!」
ぐっと相葉くんのが俺のに押し付けられた時、頭上のスマホが軽快な音を奏でて。
「もっ…だーめ!ほら起きてってば!」
「くっそぉ残念…」
危うく流されそうになった思考はアラームに助けられ、追い立てるように相葉くんの胸を押し遣り安堵の息を吐いた。
