
原稿用紙でラブレター
第5章 青いハートに御用心
見上げた先の表情は一瞬悲しそうに瞳を揺らめかせたけれど。
すぐにいつもの優しい色で俺を見つめてくれて。
少しずつ落ち着きを取り戻した呼吸に合わせ、相葉くんから目を逸らさずに口を開いた。
「ごめんね…さっきはあんなこと言ったりして…」
「…ううん、俺が勘違いされるようなことしたから」
「違うよっ…相葉くんは悪くない。
俺が勝手に思い込んじゃって…」
「…あのね、ほんとに俺にのちゃんが疑うようなことしてないからっ…!」
「うん…分かってる」
そう、あれは何か理由があってのことだったんだ。
なのに勝手に決め付けてしまった大人げない俺。
ごめんね、ちゃんと聞くから…
「ねぇにのちゃん…聞いてくれる?」
揺らいだ瞳を見抜かれたのか相葉くんの両手がそっと俺の頬を包み込み。
急な温もりに思わずきゅっと目を閉じてしまい、次に開けた時には傾けた顔が間近にあって。
っ…
上向けられたまましっとりと重ねられた唇。
数日ぶりのその感触に、もう何度も経験した熱い感覚が全身を駆け巡った。
「…俺、にのちゃん以外のヤツ見てないから」
「…んっ、」
一度離された唇はそう溢してすぐ、赤らんだ目元を親指で拭いながらまた優しく俺のに重ねられて。
包まれた頬と合わさった唇から相葉くんの想いが溢れてくる。
「絶対っ…他のヤツなんか…」
「ん…んっ…」
「にのちゃんしかいらない…」
「ふっ…ぁ」
段々と濃くなるキスと合間に溢される言葉に、頭も体もじんじんと熱く昂ってきて。
「ん…待ってっ…あいばく…」
「好きだよ…」
拳でぐっと胸を押し返そうとして鼻先で囁かれたその言葉に。
ゾクゾクっと疼き出す体が恥ずかしくて思わず目を伏せる。
「…こっち見て」
「っ…」
未だ包まれたままの頬を優しく撫でられれば、それだけでジンと反応してしまいそう。
相葉くんっ…
「ねぇそんな顔しないでよ…」
「……え?」
「もう…止まんなくなるから…」
言いながら更に抱き寄せられた体。
再び密着したことで下腹部に相葉くんの昂りを感じ、一気に顔中に熱が集まって。
"入っていい?"と言いながら無造作に靴を脱ぐ相葉くんに煌々とした部屋の奥へ引っ張られていった。
