
同窓会 SN
第78章 桜8 翔
弾かれたように身を引き、即座にシートベルトを外して外へ出ようとする。
こういうとこはいつまでたっても変わらず 誂い甲斐がある奴
「あ、そう言えば俺たちスーツのままだな・・・」
「仕事帰りのリーマンが二人で水族館・・・」
「ま、いっか・・・お前キャーキャー燥げよ、観光客っぽく」
「なんでだよ」
「地元のリーマン二人じゃ間違いなくゲイのカップルと思われるだろ。観光客なら男二人でもギリ、許されそうだ」
「いいよ、・・・別に 他人に何て思われたって・・・」
まただ
又こいつはこうやって俺のハートを鷲掴みにするようなことを・・・
たった今、俺のキスにギャーギャー騒いだくせに
ここから今日のサービスタイム突入なのか?
それとも天性の飴と鞭の使い分け達人なのか?
内心そんなことを考えながら、
太陽の光を浴びてキラキラ輝く水族館の入口を見上げる
男前のセリフを吐いてくれたけど、実際に俺がここで手を繋いだりしたら コイツはまたきゃんきゃん吠えるんだろうな・・・
なんて想像したら 危うく吹き出しそうになった
それは何とか堪えたものの ついつい緩んでしまう口元を手で覆うと 和也が目ざとく気付き、不思議そうに見つめてくる
「どうかした?」
「何でもないよ、行こうぜ」
手を繋ぐ代わりに これくらいなら大丈夫だろう、と
ちょっとだけ和也の背中に手を添えて、俺たちは二人並んで入り口に向かった。
