
誰も見ないで
第19章 誰も見ないで
瑞稀君の手をゆっくり撫でる
言いたいこと、わかっちゃったから
「ーーうん」
「突然思い出しちゃって、寂しい」
瑞稀君の腕に少しだけ力が入る
「俺も、寂しいよ」
俺が行くまでもう時間がなくて
お互いに触れないで来たことが、目を逸らしたって視界に入るようになってしまった
正樹達が来てくれて賑やかだった分、余計に寂しくなっちゃうね
俺は瑞稀君の腕の中で身体を反転させて、向き合う形になった
瑞稀君がふ、と俺を見上げてくる
「……ベッド、行こっか」
前髪を手で退けて瑞稀君の顔を見ながら俺がそう言うと、瑞稀君は
「うん」
と言った後俺の胸に顔をぽすん、と埋めた
かわいい仕草にふ、と笑みをこぼして
俺は瑞稀君を抱き上げる
本当はあとちょっと洗い物残ってたんだけど、その時の俺にはもう眼中になくて
とにかく瑞稀君に触れたいって
そればっかり考えてた
トサ、と小さな音と共に瑞稀君をベッドの上に降ろすなり俺は瑞稀君にキスをした
「ん……ん、ぅ、ん……」
触れて
吸って
舐めて
全部堪能してもまだまだ足りなくて
夢中で瑞稀君の髪に、頬に触れた
