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一之瀬姉弟の日常

第4章 Broken Heart~雨に混ざる涙~

 歩き始めて二十分……。

 傘も差さずに、その場にじっと立ってる男の子がいた。

「あれって……」

 私はよく見る。男の子は、制服を来た優也だった。

「何やってんの?」

 私は、優也にとりあえず近づいて声をかける。

「姉……貴?」

 優也は震えながら弱々しい声で私を呼んだ。こんな優也、初めて見た。だから心配になって聞く。

「どうしたの?」

「俺、失恋しちゃった。告白して振られた」

 優也は今にも消え入りそうな声で言った。私は優也に好きな人がいたという事実に驚いた。

「男らしくないだってさ。あはっ……あははは……笑えるよな」

 優也は情けない笑みを浮かべた。

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