
一之瀬姉弟の日常
第3章 お馬鹿な双子の一日
「わっかんないじゃん。聞くだけ聞いてよー」
「あーはいはい、何?」
「何それ、適当。まあ、いいや。優也、お金貸して」
「は?」
「だって、今日の食卓でバイトの初給料入ったって言ってたじゃん」
沙羅の言葉に一瞬、目を丸くして溜め息を吐く優也。食卓の時に意気揚々と親に話したことを後悔した瞬間だ。
「いや……何で? 沙羅姉だってバイトしてんじゃん」
「いやね、今月、友達の誕生日でプレゼント買わなきゃならんのに、新しいゲーム機の本体やら洋服買っちゃってお金が……」
沙羅は申し訳なさそうに言う。
「へ~なら、土下座をしたら金をやろう。だって自業自得でしょ」
ニヤニヤしながら優也が言うと沙羅はスタスタと部屋を出た。
