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僕は君を連れてゆく

第37章 背中合わせ


そのつけ麺屋はかなり混んでいた。
店の外まで行列が出来ていて、最後尾に並んだ。

並んで10分程で店内に入れた。
仕事帰りのサラリーマンが多くて醤油の香ばしいいい香りが鼻を通り抜けると俺のお腹は音を立てた。

「急にお腹、鳴った。」

「俺も!」

櫻井さんも同じこと思ってたんだと、嬉しくなった。

「麺、太い!」

「食べ終わったらつけ汁にスープを足してそこにライスを入れて食べるのがこの店の定番なんだって。」

「ライスを?へぇー!美味しそう!」

ライスも食べるからと、麺の量を少な目に頼んだ。
櫻井さんは、大盛りを頼んでる。

「ライスまでいける?」

「イケる!」

つけ麺が届いて二人でズルズルと麺を啜る。

「あー、うまっ!」

「鼻水出ちゃう。」

そう言ったら、ボックスティッシュを渡される。
1枚出して鼻の下を擦る。

「熱いの食べるとなんで鼻水出ちゃうんだろうね。」

「鼻の通り良くなる気がする。」

くだらない話をしてあっという間に麺を平らげて、
つけ汁にライスを入れた。

そうしたら、店主が「お誕生日月の方には卵つけますんで、また、来てください!」と言った。

あ…

「俺、明日、誕生日だ…」

「え?」

「俺、明日で33歳です…忘れてた…」

「マジで?うわぁー!つけ麺なんかでごめん!」

その言葉を耳にした店主が「つけ麺なんかでごめん!」と櫻井さんの言葉を真似した。

めっちゃ、笑った。

卵が俺と櫻井さんにおまけされた。

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