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僕は君を連れてゆく

第37章 背中合わせ

◆◆◆

また、朝が来た。

潤とは何も変わらない。

いつも通り。

ベットで一人で眠るだけ。



アイスコーヒーを飲もうと冷蔵庫を開けたら、お皿が目についた。
ラップのかかったお皿。
俺が昨日作った、しょうが焼きだ。
キャベツもトマトもそのまま。

「あ…」

炊飯器の保温のスイッチが入ったままになっている。電気代かかるのに…

シンクには昨晩、潤が使ったと思われる、グラスとワインの空ビン。つまみでものせたのか、皿が二枚重ねて置いてあった。

ワインは飲むくせにしょうが焼きは食えないのかよ。

炊飯器の中のご飯をおにぎりにした。
梅干しとおかか。
それでも余る。

冷凍庫のなかは余ったご飯ばかり。

冷蔵庫から潤が食べなかったしょうが焼きを出す。

「もぅ、作ってやんねーぞ…」

ダイニングテーブルの上に紙袋があった。

「なんだろ…」

開けてみたらサンドイッチが入ってる。

紙袋に潤の丸文字で“朝飯にどうぞ!”と書いてある。

「直接、渡せつーの。」

アイスコーヒーとサンドイッチを食べながら
今日の夕飯を考える。

潤は海外でのプロジェクトを任されることになったらしく(櫻井さんに教えてもらった。)朝も早ければ、帰りも遅い。

まぁ、これが本当なら。


昨日から頭の隅の隅の方にある。
絶対に許されないこと。


だけど
もしも、
誰かが俺を…




明日は、俺の誕生日。



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