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知らない世界

第39章 終息

「えっ!?何だ急に・・・
お前、この事兄貴・・・櫻井さんに話したのか?」

「いえ、まだです。
病院で1人になったときに、考えてたんです。
このケガで学校休まないといけないし、これで2回目だし、単位ないですし・・・」

「店持つ夢は?」

「諦めたわけじゃないです。
学校行かない代わりに、毎日ここで働かせてもらえないかと思って・・・毎日もいらないですか?」

「いらないことないよ。
むしろ毎日来てもらえるなら、俺は助かるよ。
お前は手際もいいし、お客の相手もうまい。
中には変なやつもいるけど、お前ひいきのお客も多い。
客層がよくなったよ、お前が来てから」

「俺、大将の元でいろいろ勉強させてもらいたいなって思ったんです」

「そんなこと言ってもらえて嬉しいよ。
でも、もう少し考えて、櫻井さんともちゃんと話し合って決めろ。
俺の方は全然OKだから」

「はい、そうします。じゃあ大将、俺帰ります。
俺のカバンとか、どうなってますか?」

「お前の事知らせに来てくれた店の店長が、預かってくれてたよ・・・ほらっ」

「ありがとうございます。
店長さんにはあらためてお礼にうかかいます」

「お前、運転していく気か?」

「はい、撃たれたのは左足だから大丈夫です。
安全運転で帰ります」

「まぁ、止めても無駄だよな。
とにかく気をつけて帰れ。
着いたら電話してこい、いいな」

「はい、ありがとうございます」


店を出て駐車場に向かった。


「よいしょ・・・イテテテ・・・
左足でよかった・・・よし、帰るか」


ゆっくりとアクセルを踏み込んだ。
いつも以上に安全運転な俺。
しばらく走ると携帯が鳴った。
スピーカー機能で電話に出た。


『もしも・・・』

『お前ケガしてるのに、どこ行ってるんだよ!』


翔さんの怒鳴り声が車の中に響いた。






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