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知らない世界

第39章 終息

『どこって大将のとこ行って、カバンと携帯と車のカギもらいに来て、今帰るところだよ』

『今帰るところだって、まさかお前運転してんじゃねぇだろうな』

『そのまさかだよ。
撃たれたのは左足だし、右足は動くし・・・』

『今どこだ。
すぐに行くから、止めて待ってろ』

『もうマンションの近くまで来てるから大丈夫だよ』

『俺も今日は早く帰るから。
もうどこにも1人で出掛けるなよ、わかったか?』

『わかったよ、じゃあね。
あっ、翔さん・・・』

『何だよ』

『本当に早く帰ってきてね』

『わかった。家で大人しくしてるんだぞ』

『うん』


最近自分でも思う。
これが本当の自分なのか、手のひらを返したように、翔さんに甘えてしまう。


「最近思うけど、どっちが本当の俺なんだろう」


マンションに着き、車から何とか頑張って降りた。
部屋に入ると使いなれてない松葉杖で疲れた。


「疲れた・・・」


ソファーにまたドサッと座った。


「そうだ、大将に電話しないと」


大将に電話かけた。


『もしもし、潤です。今着きました』

『よかった、無事着いて。
お前さえ良ければ、リハビリ代わりにいつでも来いよ』

『はい。
大将、1つ聞いてもいいですか?』

『何だ?』

『あのあと、どうなったんですか?
名張の若頭、どうなりました?』

『それは・・・』

『もう俺、驚きませんから。
俺にも知る権利ありますよね』

『・・・始末した。
アイツは兄貴が、櫻井さんが始末した』

『翔さんが?』

『お前が気を失って、車に乗せられたあと、逃げようとしたヤツを兄貴が・・・』

『そうですか。ありがとう・・・ございました。
じゃあ』


始末・・・したんだ。

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