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知らない世界

第39章 終息

次の日、俺は退院する準備をしていた。
昨日と同じ人が迎えに来てくれた。


「お~い潤、来たぜ。でもマジ大丈夫なのか?
無理しなくても・・・」

「病院にいるのは退屈だし・・・」

「退屈なんじゃなくて、櫻井の兄貴に会えないのが寂しいんじゃないのか?」

「違いますよ。
神崎さんも意識が戻ったし、やっぱ自分の家がいいです。
でも・・・ちょっと寂しいかな・・・」

「お~お、言ってくれるね。
俺達の弟は、どうしてこんなにも可愛いのかね」

「可愛いはやめてください。
あのときの、高校生の俺じゃないですし、恥ずかしいです」

「ケンカが強くて一本筋が通っていているのに、
そう言うところは可愛いんだよな」

「もぉ・・・」

「おっ、すねたのか?可愛いね。
ほら、車椅子に乗れよ」

「俺、松葉杖で自分で行きます」


近くにある松葉杖に手をのばすと取り上げられた。


「そう言うと思ったよ。
帰ってからも乗れとは言わないから、今駐車場に行くまで乗っていけ」

「はい・・・」

「おっ、素直でよろしい」


車椅子に乗り、部屋を出た。


「すみません、ちょっとICUに行ってもらっていいですか?」

「よし、わかった」


ICUに入った。


「神崎さん・・・」


ゆっくりと目を開けた。


「おぉ潤、どうした?」

「俺、今から退院します。
それで挨拶に・・・」

「いいのか、そんな無理して」

「大丈夫です、無理なんかしてないですよ。
神崎さんも頑張って下さいね。
俺また会いに来ますから」

「あぁ、頑張るよ。
潤の事・・・お願いします」

「任せておけ。
頑張って、戻ってこいよ」


俺は病院をあとにした。


                       


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