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知らない世界

第39章 終息

「とにかく全て忘れてゆっくり休め」


布団をかけてくれた。


「じゃあ、俺帰るから」

「もう少し、いてください」

「兄貴に疑われちゃわないか?」

「翔さんはそんな人じゃないです」

「何だよ、のろけやがって。
兄貴はお前の事になると、回りが見えなくなるんだよ。
でも何だ、病院が怖いってか?」

「神崎さんがとうげ越したってわかったら、安心しちゃって、何か今すぐにでも帰りたくなっちやって。
ちょっと1人でいるのが寂しいかなぁって」

「しかしお前は本当に可愛いな。
そのギャップがたまらないんだよな」

「可愛いはやめてください。
何か恥ずかしくなってきちゃった」

「いいよ、お前が寝るまでいてやるよ」

「ありがとうございます」


そんな俺は、思いの外と言うか、あっという間と言うか、眠ってしまった。


「何だよ、あっという間に眠っちゃったじゃねぇか。
俺がいる必要なくねぇ?
まぁいいや。疲れたんだよな。
名張の事は、きれいさっぱり忘れろ。
あいつは兄貴が始末した。
大将とられた陣は、それで終わりだからな」


大野さんの言葉は眠っている俺の耳には届いてはいない。
それは組の、みんなの俺にたいする優しさなのかもしれない。


「しかしマジで可愛いな。兄貴が羨ましいぜ」


髪を撫で、頬を撫で、その手が首筋におりていき
病院で借りている寝巻きの襟元から手を差し込んできた。


「うんっ・・・」


眠っていても敏感な乳首に指が触れると、感じてしまう。


「ダメダメ、潤は兄貴の者なんだから我慢。
でもこんなに可愛い寝顔を見せられたら・・・」


胸元から離した手で、また俺の頬を優しく包み、キスをした。


「我慢できねぇよ」






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