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知らない世界

第29章 見えない恐怖

23時、閉店の時間。


「大将ありがとう。潤君またね」

「ありがとうございました」


最後のお客を送り出した。


「お疲れさん。
最近は潤びいきと言うか、潤目当てのお客が増えて、うちは手伝ってもらえるはお客が増えるはで大助かりだよ・・・潤、どうした?」

「大将、お願いがあるんてすけど」

「おぉ、何だ言ってみろ」

「今日、店に泊まらせてもらってもいいですか?」

「確かに裏には部屋はあるけど、泊まるための布団も何もないからな」

「いいんです、布団何ていらないんで・・・」

「何か今日は様子がおかしいとは思ってたけど、何かあったのか?」

「・・・いやっ、何でもないです大将。
すみません、家に帰ります」


後片付けをし始めた。
大将は出ている食材をざっと冷蔵庫に片付け、白衣を脱いだ。


「潤君、家まで送るよ」

「えっ、でもまた片付けが・・・」

「明日でいいよ。 
明日も来てくれるんだろ?」

「はい」


大将の言葉に甘えて送ってもらうことにした。


「何か心配事でもあるのか?」

「・・・」

「櫻井さんは知ってるのか?」

「・・・」


俺は何者言えず、ずっと黙っていた。

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