TIME is MONEY
第5章 scene Ⅴ
なんだよこれ…
おふざけだと分かってるのにやけに心拍数が上がっていく
“愛してる“ なんて言葉、言ったことも言われたこともないからかもしれない
嘘だと分かってても、自分に囁かれてると思うと催眠術のように動けなくなる
「目、開けて…?」
そして、やたらと優しい声色の雅紀に何故か逆らえない
それこそ、この声をずっと聞いてるのは危険だと感じた
だけど
「開けて、かず」
…そう、逆らえないんだ
おずおずと目を開けた俺の視界に最初に入ったのは、雄の目をした雅紀だった
甘い囁きに反して、獲物を捉えた獣の眼差し
「口、開けて…?」
言われるままに閉じていた口を開くと
“よくできました“ とでも言うように、雅紀の舌がそこに滑りこんできた
「…っ、ん…っ」
逃げるように引っ込めた舌をすぐに見つけだされ、絡め取られる
逃げても逃げても器用に俺を捕まえる雅紀の舌に、段々と何も考えられなくなっていく
「…はぁっ!…ん、んぅ…っ」
少し唇が離れた隙に、苦しさから息を吐いても
またすぐに塞がれて
いつしか雅紀にしがみついた俺も、それに答えるかのように自分の舌を差し出してしまっていた
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