TIME is MONEY
第5章 scene Ⅴ
只でさえ、いくら気持ち良くても恥ずかしい事には変わりないのに
そこに甘さなんてプラスされたら洒落にならない
「いいじゃん、たまにはさ」
「やだよ、ふざけんなよ」
腰に回された手を引き剥がそうと掴んでみるけど、悔しい事にびくともしなくて
「なに、かず怖いの?」
その上一番ムカつく言葉を言われたら
「何が怖いんだよ、んな訳あるか!」
「なら、いいよね」
「いいよっ!」
雅紀の思い通りに進んでしまった事に気付いたところでもう遅い
にんまりと笑った雅紀の、腰に回された腕に力が入る
「じゃあ……はじめようか」
腰から手が離され、両手で俺の頬を包みこむ
いつもの力強さはどこにもない
陶器に触れるように優しく包まれた
「かず……」
再び軽く唇が触れる
「愛してるよ」
嘘だと分かってるのに、いたたまれなくて思わずギュッと目を瞑ってしまった
「可愛い…」
そう囁いて、瞼に唇を落とされて
それがおでこ、鼻、ずらした手の隙間の頬を辿る
「愛してる、かず」
もう一度その言葉を口にしたと思ったら、また唇にそれが重ねられた
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