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Best name ~ 追憶 ~

第1章 私の記憶

ドクン……ドクン……。



街を歩けば色んな人がいる。


たくさんの人がいる…。



『でな~アイル~…♪』

『……』


ドクン……ドクン…





男の人なんて……どこにでも


いっぱいいる。





『~がなぁ~~!わかるかぁ?』

『…。~~っ…』





ドクドクドクっ…




バク…っ



バクバクバクっ……









ドサッ……。







大きな声で、笑いながら歩く
3人組の若い男の子たちと、すれ違った時



私は、その場に座り込んだ。



『~~っ…』




ドクドクドクっ……バクバク…っ




耳から……体の内側すべてから
自分の心臓の音が聞こえてくるような感覚




〃息が……できない…〃




くるしい…


呼吸が……止まりそう。




『アイルっ?!オイっ…アイルっ…』

『っ…ハァっハァっ…ハァっ…』





「大丈夫っスか?!…救急車、呼びますか?!」



すれ違った3人組は戻ってきて
私を気遣ってくれていた。

『あ~、大丈夫だ!すまんな!~ありがとう!』

ソウタさんが断って、3人組は去った。




『~アイル…』

『ハァっ…ちがっ……ちが…ぅ』




『うん…』

『なにも……なぃっ…』




『うん……』





ちがうの……

ソウタさん、ちがうの…

なんでもないの。




私は必死に、そう言おうとしていた。


『ハァっ、ハァっ…ハァっ』

『~慣れない事で…疲れも出てくる頃だぁな…』



私を気遣い
背中をさすり続けてくれるソウタさん。


そのソウタさんに


迷惑ばかりかけて
ウソをつき続ける私……。



自分で気付いていることを認めたくない私……

ソウタさんに知られたくない…

言いたくない。




隠してる罪悪感…

いいや、そんな大層なものじゃない。

相手の為とかではなかったであろう。


言おうとしたつもりも
言わなければならないと思った訳でもない…


ただ、出た言葉。
ただ…出てしまった言葉だったと思う。

私は……



『私…っ…ハァっ…ハァっ…』

『うん…大丈夫だ』


『私…』

『大丈夫……ゆっくり』



苦しさから…ただ逃れるように
私の中から出るコトバ…












『男の人… コワイ… 』

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