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Best name ~ 追憶 ~

第1章 私の記憶

「よくあること」と
流してくれたソウタさんだけど…

私の異常な光景に
何か思わなかったかと、また不安になった。


隠そう…


知られたらイヤだ…隠そう。







そんな風に思えば思う程
次々に、私の中で何か崩れていくようだった。

露呈していく…というのか。




「こんちわ~~!」


ある時、スーツを着た若い男の人が
病院にやってきた。

ソウタさんの後輩の方で
医療器材の営業をやっているのだそう。


ソウタさんは、なんと言っても
友人も多く、顔が広い人だ。


人との繋がりを大切に…
色んな人との付き合いをもって
それも経営に功を期していた。


『お~オメェ♪よぅ頑張ってんナァ!
よし…決まりだ!
そん代わりサービスしろよ~?(笑)』


「ありがとうございますっ!!先輩!
今後ともよろしくお願い~……ん?
スタッフさん?」


『おぅ、助手の一人よ♪
〃優秀な〃なっ!』


私を見たその人に
ソウタさんが私を紹介していた。

私は慌てて挨拶した。


……ドクン…



『ぁ……こっ…こんにちわ』


「こんにちわ!
へぇ~助手さん!!

先輩すっかり一国の主ですね~~!!

あ、今後ともよろしくお願いしまっす!!」




元気に…感じよく、私にも丁寧に挨拶してくれる
真面目そうな、爽やかな……男の人…。




『は…はい…よ、よろしく…おねが… …ぇっ』



爽やかな営業マンらしい笑顔で
その人が、ごく自然に
深々と礼をしながら私に握手を求めてきた。


手が……触れる


キュ…っ…




『ぁ… …っっ !!』

「えっ… …?」



キュっと…わずかに手に力が入るとき

私は咄嗟に手を引っ込めて下がり
そのままガタガタっと後の棚にぶつかった。



明るい笑顔だったその人も
さすがに驚いて一瞬固まってしまった。



それはそうだ…。



何も…していない相手に対して私は…。




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