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Best name ~ 追憶 ~

第1章 私の記憶

ペットケアの資格や、技術を勉強する私に

ソウタさんは時々…それとなくだけど
問いかけてくれた。

〃もう一度、獣医を目指さないのか?〃


…と。




時に間接的だったり
合間に色々と教えようとしてくれたり…

この時の私にも出来るように
夜間学校のパンフレットや様々な方法を
さりげに調べてくれていたり…。


嬉しかった、とても。


私が…こんな私が
まだそれを望んでも良いのか、と

もしかしたら…と。






だけど……全く…思いがけないことで




希望は消えていった。












『アイル~…すまんが、こっち
片付けてくれるかぁ~?』


『はーい…!…すぐにやりまぁす』



病院は中々忙しい。

ソウタさんの評判は、とても良くて
宣言通りだった。



忙しい時ちょっとした準備や片付けを
私がやる、なんてことはよくあること。



処置の後片付けをしに
診察室に入った時のことだった。




『~フゥ~…結構、大掛かりになっちまったナ~…
アイル~、感染に気ぃつけろォ?
よく手をなァ…』



『……?はい。』



くるり……

処置の終わった診察室に目を向ける。



『…… っっっ?!』












ガシャガシャガシャーーン!!!










『っっひ…っ……ひゃぁぁっっ~~っ……!!』










私は自分の意思とは裏腹に
大声を上げてしまっていた。




少し大掛かりな処置のあと……





目を向けた先には






真っ赤な血のついた大量のガーゼ…




飛んだ血液…




それらを咄嗟に手で払い除けてしまっていた
私の手にも血が付く。


私の手に当たった道具も散乱する。




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