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Best name ~ 追憶 ~

第1章 私の記憶

はじめは、ごくごく簡単な事から
ひとつずつ習って事務仕事をしたり
少しずつ仕事を覚えていった。





『バガヤ"ロ"ォ"ォ"ウ!!!』





くだけた時…興奮した時

そして

怒った時…



巻き舌……江戸っ子みたいな口調になる
ソウタさん。


(江戸っ子じゃ……ないハズなんだけどなぁ(笑))



ソウタさんは仕事には、とても厳しかった。



仕事に真面目で、真剣であればある程
厳しかった。


時には、そんな風に怒鳴られることも…。


本当に、ごく稀…本当に必要な時だけだけど
ソウタさんは本気で叱る。


生命に関わる
あってはならないミスが
二度と起こらないように、本気で叱る。


ソウタさんは怒ると……本当にコワイ。




コワイけれど…私は、驚きはしなかった。




理不尽に怒られている訳ではない
というのも勿論だけど…

そんなソウタさんに…よく似た人物を
昔から知っていたからだ。



仕事をするソウタさんの姿…

その人柄は

私の亡き祖父に、よく似ていた。


やさしくて…時々おっかなくて


やっぱりやさしくて…。










元々そうだったのか、意識したのか

段々似てきたのか、わからないけど



そんなソウタさんの姿が
私はたまらなく嬉しかった。


大きなその背中が…私を安心させてくれた。




怒るとホントにコワイけど(笑)





『ソウタさんっ』


『~なんだァ アイル~?』


『ふふっ…ううん。なんでもありません』





祖父の面影をソウタさんに見て
つい甘えてしまいそうになる自分を
時々制して…。

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