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Best name ~ 追憶 ~

第1章 私の記憶

『いいか?アイル
テメーのウチを

〃住まわせてもらってる〃
なんて言うもんじゃねぇゾォ?

それにオマエ~…
家政婦しに来たワケでも

居候しに来たワケでも
ねぇだろォ?』




『……うん』




『お前は、これからちゃんと働いて

〃社会〃に出ていくんだ。
自分の力で…。

そのための準備の時間だ、アイル。
わかるか?』





『はい…』






そう…
ソウタさんは
私に働く場所まで用意してくれていた。






『ソウタさん…』



『ん~?アンだぁ?
まだ何かあんのかぁ~?ハハハっ…』









『でも…どうして…?』


『ん~…?』







『どうして…私を、私なんかを…。

私なんかに……ここまで?

私……〃悪いこと〃したんだよ…?』






本当に、ただただ純粋に疑問だった。



ソウタさんが優しい人なのは知っていた。




だけど
だからと言って…私のような問題児に

そんな風に関わることが彼にとって
何か良いのか?

そうする必要があったのだろうか?



そんな私を抱えて…それも独立して
これからやっていくソウタさんにとって


私はリスクでしかないのではないだろうか…





そんな思いや疑問をぶつけた。






こんな事を…言えば言うほど
ソウタさんを困らせる…



わかっていたけど…。






ソウタさんが、フゥ…と深くため息をついて

私に向き直った

真面目な顔をして。





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