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Best name ~ 追憶 ~

第1章 私の記憶

『但し…そりゃぁ

オメェがもっとオトナんなって

本当に自立する時の話だぁな?…』






『え…』





『何べんも言わすなアイル~?

ココはオメェの〃ウチ〃だ
何の心配もいらねぇ

いつまでもいたってイイんだし…
出たいなら出てきゃあいい……

だけど、せめて成人するまではナァ…
それでも出てくってぇなら

ちゃんと訳を言え?
理由次第で考えてやる』







『……理由って…例えば?』





『あ~…例えば?
お前が学校いくとかナァ…

んで下宿するとか…
やりてぇことがあって

働きに行く先が
遠いとか……そういうコトならだ』





ソウタさんは、驚くくらい…私の心配事を
私よりも心配してくれてるようだった。






『~だからナァ…そうでもねぇならナァ…
親の保護下にいるウチはナァ…

最低限、親の言うことは聞け?
わぁーったな?…』





『…。はい…』





『よし!わぁ~ったらもう余計なコトは
ごちゃごちゃ言うな?

まず健康第一だ!ホラ!…アイル
どんどん食え♪!』






『……はい。』






夢も……家族も…友達も… 日常も


帰る家さえなくした私にとって


これ程あたたかく、有難い場所はなかった





こんなに

親切にしてもらって良いのだろうか?





後ろ指さされて

表をあるけないような私が。





小さい頃から大好きだったソウタさんに
こんなかたちで

こんな風に、お世話になる日が来るなんて
思ってもみなかった。




ソウタさんと二人暮らしがはじまる。



ソウタさんは私を引き取ってくれて
自分の新居に住まわせてくれた。



独身のソウタさんが



突然…18歳の娘の〃父〃になったのであった。



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