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Best name ~ 追憶 ~

第5章 あの人に…お似合いの女の子

『アイル・・・ふふっ

〃最近〃そんなことばっか

気にしてたのか?』




『~~~~っ』



リョウキになんの非もないこと

また…八つ当たりしてしまった私は

ちょっと逃げ場がない




ポロ・・・


ポロポロっ・・・




音を立てるような大粒の涙が
いつの間にか私の頬を伝って
フローリングの床を濡らしていた




『ぉ…お風呂…かりるね』


私は立ち上がって背を向けた



『待てって、アイル…』



『やだ・・・もう着替える』




『いいから・・・』



『やだ・・・っ』





私の涙に気付いたリョウキは
私を少し強引にソファに座らせ
振り向かせて私を見つめる


目の周りのメイクが溶けて
真っ黒・・・

黒い涙が流れていた
私の無惨な姿を・・・





『あ~ぁ~あ・・・(笑)』



バサバサとティッシュをつかんで
リョウキが目元を拭いてくれる




『わたしなんか・・・どうせ…っく、ぅっ』




『泣かない♪泣かない~』



みっともなさすぎて
子ども扱いしないで…なんて
悪態つく元気も残ってなかった



ポンポン・・・ポンポン・・・



大きな手が
いつものように私の頭を撫でてくれた




『ぁ・・・』



『・・・。ギッシギシ…(苦笑)
こんだけ染めんの…時間かかったろ?』




色素を抜ききって染められた
派手な髪の毛


ギッシギシ…それは
そのはずなのだ


ええと・・・つまり、ね




あ、それよりも


いつもと違う手触りのそれを撫でて
何故か少し寂しげに彼が呟いた




『リョウキ・・・私、っく…っう』





『中々衝撃的だったけどな?(笑)
中々似合ってて、悪くはないぜ?
〃ギャルアイル〃も…♪』




『りょぉきぃ…』





『そんな頑張らなくてもな?
アイルは可愛くて魅力的だけど?

でも…色んな事に挑戦したり?
或いは楽しんだり…

そうやって頑張ってるアイルは
やっぱり可愛くて
メチャクチャ魅力的だから?…なんてな』





見るも無惨な姿の私を前に
リョウキはやさしく言って
ニコリと微笑んだ





この人には・・・かなわないや、私

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