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Best name ~ 追憶 ~

第5章 あの人に…お似合いの女の子

『よっ・・・と。~アイルちと座ってな』


『・・・』



少しはなれた所に見つけたベンチに
私を下ろして
リョウキはどこかに行こうとする




ちょこん…と
私の手に・・・真っ二つの靴をのせて




『修理に出せば直るんじゃないか?♪』




明らかにショック受けてる…
そんな私を慰めてくれたのだろう





『ぅん…。ねぇリョウキ…どこへ?』



『すぐ戻る。足も疲れたろう?
アイルは少し休んでな…♪』






呆れて…さぞからかわれるかと思えば

小指にマメができて切れている
私の片足に気付いていた彼は

さりげなく・・・気遣いをくれる




からかうようで・・・からかわない




ホントに…根がやさしくて誠実な人







私を置いてリョウキは…すでに
その人並みより長すぎる脚で
スタスタとどこかへ歩いて行った



〃速・・・〃



本来あんな速さなんだよね・・・






『はぅ・・・』



ベンチに残された私は
無惨な姿のお気に入りの靴・・・

もしくは無惨な姿の自分に
少しため息をついた




せっかくのデートなのに…

どうして私はこうなのかな







『お待たせ…』



ウジウジと私が考え事してると
リョウキはすぐに戻ってきた



手に・・・お店の袋を持って



『???』


『とりあえず今日はこれ履いてな』




リョウキが私の足元に並べたのは


当たり障りのない
どんな服にでも馴染むような

柔らか素材の
シンプルなシューズ








・・・・・・ペタンコの。










『リョウキ…これを買いに?』


『~家まで歩ければ…な?(笑)
とりあえず我慢しろ』





そう言ってニカッとリョウキが笑う


そしてもうひとつ
差し出してくれるのは



絆創膏の箱





『・・・~~』





有り難いのと、色々申し訳ないのと
入り交じった私は


黙って頷いて
足の小指に絆創膏を巻いて


目の前に置かれた靴を履く



タグもとってもらってある
そのまま履けるようにしてくれた靴・・・











・・・サイズが、ピッタリ

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