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Best name ~ 追憶 ~

第5章 あの人に…お似合いの女の子


お気に入りの12センチのハイヒール




デザインも色も
私の一番のお気に入りで




リョウキとデートの時にしか
履いていない…オシャレな靴






ついでに…ちょっと・・・高かった







その靴が…見るも無惨に
真っ二つに折れて
リョウキの手にぶら下がっていた






〃ショック・・・〃





『うそ・・・ぉ』




否応なしに涙目になりそうな私


でも…仕方ない


鈍くさい私が
バカ正直にコケちゃったんだもん


足元からした音を考えれば
この有り様は納得だった・・・





なんて・・・そんな事よりなにより




〃歩けない・・・〃




ショックやら恥ずかしさやらで

ボーっと片足でヨロヨロ立っている私を






『あぁっ・・・ちょっとリョウキ?!』


『(笑)』




片手に無惨な靴・・・

片手には・・・鈍くさい私を




呆れたように苦笑いして
彼は私を肩に担いで移動する




『ちょっとリョウキぃ…恥ずかしいよ』


『しょうがねぇだろう…(笑)』




確かに彼の言うとおり・・・


履けない靴で歩けないし


片足ハイヒールでケンケンパー(?)
みたいな歩き方なんかすれば


どうせ私の事だから
二次災害が起きる・・・?


反射神経に伴うように
冷静で回転の速いリョウキは
それを見越していたのかな…




彼の肩にぶら下がって
ますます顔が熱をもつ…



『ぉ…おろして…ぇ』

『(笑)暴れるな…』





気まずさと恥ずかしさに
堪えきれなくて…小さく反抗していた




『ねぇ、リョウキ…だって

ぱ…ぱ……ぱぱ…ぱ』



『クス・・・なんだって?(笑)』







パンツ・・・見えちゃうから





なんて、言い訳を探したのだけれど





そこは…よく気のまわる彼だから


私を担いで…さりげなく
スカートがめくれないように

なんとも器用にスカートごと
私の太ももの辺りを支えていてくれた





『人に…見られると、恥ずかしいよ』


『はいはい…(笑)もう少しな』





大きな肩・・・広い背中


伝わる体温と共に感じる
彼の逞しい体


子どもみたいに・・・簡単に持ち上げられて
私はその肩にぶら下がっていた

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