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Best name ~ 追憶 ~

第5章 あの人に…お似合いの女の子

それなのに・・・私って

どうしてよりによって・・・








『それでねリョウキ…この間行ったカフェで』




コツコツコツ・・・




慣れないハイヒールで
大きく歩幅の違う彼と

のんびりお話しながら
歩いていられるのは



彼が…リョウキが


さりげなく…
歩幅を合わせてくれているから…だよね






『そしたらマナさんでばね…~…っあ!!!』






・・・!?



うそっ・・・?!






突然足が動かなくなって…





ボキッ・・・





足元から大きな音が
振動となって私の体に伝わる





『あぁ…っ…!?』





転んじゃう…っ





『・・・っ!…っと』








私は転びはしなかった




並外れて反射神経の良いリョウキが
咄嗟に繋いでいた私の手を

上手く引き上げて
支えてくれていたから






『大丈夫か?』


『ご、ごめん…』




ようやく自分の状況を把握した



リョウキに支えられた私は
片足は・・・裸足

一歩後ろに

私の靴が溝にキレイにハマって
寂しげに置き去りにされていた




なんか・・・すごく恥ずかしい




『~~・・・』



彼の手をそっとはなして
ひょこひょこっと後退する




『ん…っ、…~抜けない』



ハマった靴を履いて
抜こうとするのだけど

中々抜けなくて
片足立ちの私は

ただでさえ足元の不安定な靴に
ヨロヨロとバランスを取りきれず





ドテっ・・・




ついにはしりもちをつく始末





せっかくリョウキが転ばないように
助けてくれたのに…




『ぷっ・・・なにやってんだか』




見兼ねたリョウキが
少し笑いながら手を差しのべて
起こしてくれた





カァ~~・・・



っと、自分の顔が
みるみる赤くなる感覚がした



恥ずかしすぎる・・・私





『~~…っ、…よっ』




ズコ・・・っ




片足立ちの私を横に
彼はいとも簡単に

溝にハマった私の靴を
拾い上げてくれる




でも・・・





『ぁ・・・』



『あ~あ…こりゃひでぇなアイル?』






彼の手に下げられた私の靴





プラ~~ン・・・と





根元からバッキリと折れたヒールが
ぶら下がっていた

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