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Best name ~ 追憶 ~

第2章 私の希望

その人は心なしか、少し遠慮するように
距離をとって後をついてきた。




長い脚が、余ってしまう(?)だろう

というようなスピードで。





『メーワクじゃなかった?』






べつに・・・
なにも迷惑などかけられていない。






私の態度や言葉は
誤解を与えてしまうのかな?…






ルナ・・・ううん、マロン

少し迷った末、私は
マロンのリードをその人に渡して
散歩に加わってもらった。





そう次々にと言うわけではないけど
彼は他愛もないことを私に聞いてくる…




・・・何か、私も
話した方がいいのかな?・・・



考えてる間に彼は口を開く。



『…たまに一緒に散歩について行ってもイイ?』



……と。








・・・?






・・・べつに・・・ダメ・・


・・・という理由はない。









べつにかまわない、と意思表示する私に



『なんで?』







・・・?




なんで?・・・





とは・・・なんで??・・









初めてみる
ちぐはぐな質問をする彼の姿…。







なんで……って…ええと……だって…








『さけられてそうだから』







・・・。






彼の返答に


私は、彼に気を遣わせてしまっていたことに
ようやく気付く。




気の利いたおしゃべりも出来ない…

愛想笑いも出来ない私にかける言葉を

この人は逐一、探していたんだ。









さけてるつもりなどなかったし

悪気など、もちろんなかったけれど…

心が痛んでしまった。








私は・・・
あなたをさけたりなんてしていないよ。


・・・さけたりなんか・・・しない。











あれ・・・?





だけど、どうして?






・・・。


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