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Best name ~ 追憶 ~

第2章 私の希望

『えぇと・・・』



答えようとする彼に…



〃ちょっと待って…!〃と

咄嗟に視線を送っていた。




彼と目が合う……。




何か察してくれたのか
彼は当たり障りなく答えていた。




・・ホッ・・・・・・。






そこで私は、彼に名前を聞かれた…


……本名を。






あまり・・・名乗りたくない


呼ばれたくない、私の名前・・・。






とは言うものの

相手が名乗っているのに
名乗りもしないなどと、失礼極まりない。



これ以上、気まずくなるのもイヤだ…。



口で言えば良いのだけど
どうにも無気力だった私は

カフェのカードの裏に
殴り書きのように名前を書いて
彼の前にすべらせた。


名刺交換なんてしたことがない。
彼がさっきしてくれたのを
少しマネてたのかも知れない。









『~・・・アル?・・・~メルちゃん?』










少し読みにくい…
時にキラキラネームだとか呼ばれる

私の奇妙なナマエが…
どうにも読めないらしい彼が

いくつかのカナをなげて確めてくる。




・・・どうせ ヘンテコな ナマエだもん。









恥ずかしくなった。







『・・・〃アイル〃』







小さく名乗って

私は一人
日課の3匹の散歩に行くために

先に店を出てしまった。



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