
密猟界
第7章 美しき獣たち
──足元に聖書が投げられる。「ユノ」沈黙したまま、チャンミンを見る瞳は、漆黒の闇に濡れたように、光る。「今日は日曜日です。礼拝の日ですよ」椅子に裸体をだらしなく凭せかけ、ユノは荒い息をつく。
「…どうしたんです?」……のろのろとユノは足もとの聖書に、手を伸ばす。成熟しきった雄の肉体が、深い影を床に落とす。旧約聖書。赤い栞が、蠍の尾のように捩れ曲がり、挟まるページを微かに震える指先で開く。
「暁の…」イザヤ書を掠れた、小声で誰かに囁くように、読む─。
「暁の子よ」乾いた唇を舌先で舐め、「ルシファよ」膝が左右に広げられ…「汝─」一瞬の沈黙…。やがて…、「いかにして、天から落ちたのか、─地に切り倒された…諸国民のあいだに、投げ出されたのか。…」荒く、熱い吐息が聖句をのぼらすユノの唇から、漏れる。「お前は、心に…思ったのだ。私は天にのぼろう」赤るんだ唇が、強く、噛みしめられ─「神の星より高いところに」両肩は震える…「私の玉座を」両の手も、震え出し聖書を落としかけ…、「据えよう」チャンミンがユノの指から、聖書を取り上げ、「いと高きもののようになろうと……。」探られた雄の身が、独立したもののように、蠢いた。
「…どうしたんです?」……のろのろとユノは足もとの聖書に、手を伸ばす。成熟しきった雄の肉体が、深い影を床に落とす。旧約聖書。赤い栞が、蠍の尾のように捩れ曲がり、挟まるページを微かに震える指先で開く。
「暁の…」イザヤ書を掠れた、小声で誰かに囁くように、読む─。
「暁の子よ」乾いた唇を舌先で舐め、「ルシファよ」膝が左右に広げられ…「汝─」一瞬の沈黙…。やがて…、「いかにして、天から落ちたのか、─地に切り倒された…諸国民のあいだに、投げ出されたのか。…」荒く、熱い吐息が聖句をのぼらすユノの唇から、漏れる。「お前は、心に…思ったのだ。私は天にのぼろう」赤るんだ唇が、強く、噛みしめられ─「神の星より高いところに」両肩は震える…「私の玉座を」両の手も、震え出し聖書を落としかけ…、「据えよう」チャンミンがユノの指から、聖書を取り上げ、「いと高きもののようになろうと……。」探られた雄の身が、独立したもののように、蠢いた。
